「さよならのその日まで」①~ペットとの最後の時間を大切に~

第1話:陽だまりの朝

陽だまりの中、ココはいつも通り尻尾を振って玄関まで迎えに来た。
年を重ねた体は少し弱くなったけれど、その目にはまだ好奇心が宿っている。
朝の散歩では、ゆっくりと草の匂いを嗅ぎ、時折立ち止まって遠くの景色を見つめる。
その小さな仕草に、飼い主は思わず笑みをこぼした。
日々の何気ない光景が、どれほど尊いものか、改めて気づかされる瞬間だった。

ココがそばにいるだけで、家の中は暖かい空気に包まれる。
かつては走り回る元気な姿に目を細めていたが、今はその静かな存在感に心が満たされる。
この時間を大切にしたい――そう思いながら、飼い主はそっと手を伸ばし、柔らかい毛に触れた。
何気ない朝のひとときが、後に深く心に残る思い出になる。
今日もまた、ココと一緒に過ごせるこの瞬間に感謝しながら、穏やかな時間が流れていく。